人生の基本的な事とは何だろうか。
基本が出来ていなければ応用は出来ない。基礎がきちんと出来ていないと建物は倒壊する。最初は基本をしっかりと修めるべきだろう。しかし、意外と人は基本をやらないし、教えてもらえなかったりする。
そこで、改めて人生の基本的な事について考えていきたい。
「守、破、離」という言葉がある。これは先ず、基本を守り修めてからそれを自分なりに破って変えていき、最後にはそれを離れるという言葉だ。確か日本の芸能由来の言葉で、師匠について教わるのを前提にしている。人生の師匠、今風に言うとメンターだが、あなたにとってのメンターは誰だろうか。
芸能人かも知れないし、有名なスポーツ選手かも知れない。あるいは政治家かも知れないし、もしかしたら科学者や哲学者、宗教的偉人かも知れない。どちらにせよ、尊敬出来る人を見つける事だと思う。その上で、その人の話を良く聞いて守り行う事だろう。但し、ここで間違った人を選ぶと後々とんでもない事になる。例えば、カルトの教祖を選べば人生が破壊されるし、反社会勢力を選べば社会との軋轢が生じる事になる。
そう考えてみると、メンター以上に大切なものがある事になる。それは何か。それは倫理とか道徳、遵法意識、人権に対する理解等である。
お金だという人もいるかも知れないが、貨幣の価値の根本は信用である。信用が破壊されれば人生は暗いものになる。最初は良く分からないかも知れないが、段々と分かってくる。大切なのは貨幣そのものより、信用なのだ。信用を作るのは日頃の行いなのである。
最初に学ぶべき事はこれである。人間社会で生きていく以上は、人間と上手くやっていく事が必要である。一説によると悩みの9割は人間関係に由来するらしい。だから、最初は人間関係を良好に保つ為にも、倫理、道徳、法を学ぶべきだろう。
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その上で、人との話し方やマナー等を修めると良いと思う。
その基礎の上に、自分が専門としたい分野の技能や知識を積み上げていく。こうして社会で活躍出来るある種の専門家になれるのである。全ての知識を得るのは現実的ではないので、広く浅く修めるのもそれはそれで良いと思うが、仕事の為には専門分野を持った方が良いだろう。ただ、専門知識や技芸を持っていても、犯罪をすると社会からは干されたり、排除されたりするので台無しになる。人との良い関係あっての能力なのだ。
では倫理とか道徳とは何なのか?神の掟だろうか?
神とは何だろうか?ある種の宗教ならば明確な答えを与えてくれるだろうが、普通はそんな事はない。そうなると無難なのはこうである。
「人を傷付けない様にする事」
しかし、人生においては自分の自由な事をやろうとしたり、正しい事を追求したりすると、反対に人に迷惑が掛かったり、何かが正しいと断定すると、逆側の立場は間違っている事になり何らかの形で人を傷付ける事になる。これが人生における避けられない「摩擦」だと私は思っている。摩擦を0には出来ないが、出来るだけ減らす様にする事が大切だと私は考えている。生きていくには何かをしなければならない。そうすると何かしらの正しさに依拠しないといけなくなる。何も主張しないというのは不可能なのだ。
私の思うに、倫理とか道徳とかは「法律という最低限の調整部分を覆う柔らかい膜」である。例えば、法律を守っていても、問題が起こる事はあるので、法律さえ守っていれば何をしても良いというのは浅い考えなのだ。一昔前、脱法ドラッグというものが流行った。今は規制されているが、当時は合法だった。もちろん、それを販売すれば誰かが使う事になる。その使用者の人生は健康が損なわれて破壊される。法律を守っていても、人に対する配慮や考えが欠落していれば、誰かの人生を破壊する事になるのだ。もちろんあなたの人生、信用も何らかの形で壊れる。
そこで、法律…極めて細かくて全ての法律を完全に理解して守っている人はいないかも知れないが…を学んで守る様にする必要がある。その上で、法律の理念を理解して運用する為に、倫理、道徳、人権意識においてカバーしていく必要がある。倫理、道徳、人権意識の方が法律より根本にあり、また範囲が広い。大きな丸の中の小さな丸をイメージすると分かりやすい。こういう全てを把握して守り行う事は、正直とても難しいし完璧に出来ている人はいないと思う。それでも、そう努めていく事が全ての人に求められている。
単純化して、ごく基本的な事を言うと「殺さない・暴力を振るわない、盗まない、嘘をついて人を騙さない、約束を守る(詐欺的な契約は除く)、性的な加害を行わない」とかになると思うが、この延長線上に様々な取り決めがあるので、これさえやっていれば良いんだという事を簡単に言う事は私には出来ないし、多分誰にも出来ない。申し訳ない。
哲学(分野による)や宗教(カルト除く)、思想を学ぶ事はこうした人生の問題に対して何らかの角度から光を投げ掛ける事が出来る良いものだと私は思っている。
他方、人間は変化に弱い。人は変化や刺激を求める一方で安定を求め、今までの状態を保とうとする。だから、精神が弱っている人や歩き始めの人が意識するべき事は規則正しく生活する事だ。暴飲暴食をせず、健康に気をつかって、入浴し清潔にし、朝起きて夜は大体決まった時間に寝る事である。生活が乱れると病気になったりするし、逆に精神が弱ってくると規則正しい生活が壊れてくる。そういう時は、一旦休んで規則正しい生活を意識してみると良いと思う。
あまりに細かい取り決めは守れないし、そもそも把握出来ないので効力が薄い。
だからごく簡単に書いてみた。
まとめると、私の考える人生の基本的な事とは「倫理、道徳、遵法意識、人権に対する理解」と「規則正しい生活」である。
基本が出来たら、もっと深い部分を修めていって、より深い理解に達する事を目指したり、応用してもっと良いやり方を見つけたら良いと思う。