リテラシーという言葉をご存じだろうか。
リテラシーは読解記述力を意味する言葉である。
古典的には単に識字率を意味して使われていたが、最近では「情報リテラシー」とか「科学リテラシー」とかある分野の真相をきちんと理解する力という意味で使われていたりする。
このリテラシーだが、その重要性は盛んに叫ばれても、リテラシーを向上させる方法についてはあまり解説されないように思う。
この文章では、リテラシーを向上させる為の方法をいくつか提案する。
リテラシーを高める方法があまり解説されないように思われるのは、そもそもリテラシーが簡単には身に付かないからだ。
何が正しく、何が間違えているか正確に見抜き、読解する為には地道な努力が必要だと私は感じる。
一つに文章を読む訓練が必要だ。
沢山の文章を読む事、単語を覚える事、出来れば書けるようになる事が必要。
これは語学の勉強に近い。だから英語を学ぶと良い。英語が読めれば、英語論文が読めるようになる。ほとんどの論文は英語で書かれるのだから(様々な感情抜きに)英語は必須だし、学問の入り口に立つ為には学ぶ必要がある。
更に、ここで落とし穴があるのだが、自分では読めていると思っていても、全く理解できておらず文章を出鱈目に解釈してしまっている可能性がある。だから、文章の読解は答え合わせが必要であり、これを完全な独学で行うのは難しい。
したがって、リテラシーを身に付ける為には、大学等で学んだ方が良い事になる。
何もこれは権威に盲従しろ、と言っている訳ではない。
後述するが、疑う事も必要である。権威だからいつも正しいとは限らないのだ。
整理すると、先ずは読めるようになる事。語彙を増やす事。書けるようになる事。英語を学ぶ事が必要である。
次に、答え合わせをする為に、知識を持っている人と確かめをする必要がある。大学等で学んだ方が良い。
次の段階は、実際に確かめる事である。
論文が捏造や虚偽の可能性はある。査読がされていなかったり、再現性が低いものは疑わしい。条件設定が少し違うだけで、真逆の結果が出る事もある。
だから、確認の為に実験が必要だ。
しかし、実験が難しい分野や大規模で不可能である場合もある。そういう時は、判断をひとまず留保しておく。そして、既に実証されて確実な論文を確認し、それらの結論と食い違っていないか等、基礎的な部分を調べると良いと思う。
次に、統計の知識を学ぶ必要がある。
統計には数学が必須なので、数学をやった方が良い。数学、統計の基礎を知らないと詐欺師の偽のデータやグラフに騙される可能性が高い。
先ずは簡単な基礎的な勉強から始めると良い。素人向けの入門書もある。
例えば、統計を少し知っていれば、Twitterのアンケートが何の根拠にもならず、参考程度にしか使えないのが分かる。
テレビ等でも、統計的に出鱈目なデータが使われる事もある。母集団の定義が曖昧で標本が適切ではなく、無作為抽出が行われていないアンケートは沢山ある。用語を羅列して申し訳ないが、自分でググって調べて欲しい。これを知らない人はアンケートで騙されている可能性が高い。
最後に適度に疑う事が必要だ。
クリティカルシンキングとか、科学的懐疑主義とか呼ばれたりする方法がある。
何でも信じれば良い訳ではないが、何でも疑えば良い訳でもない。
権威は間違える可能性があるが、素人はもっと間違える。適度に疑い、確かめる必要がある。
仲の悪い医者が同じ事を述べていたら正しいというジョークがあるが、こういう風に様々な観点から確かめる必要がある。
また、多数派だから正しいとか、少数だから正しいとかも言えない。場合による。
信仰という言葉があるが、人間は全知全能の神ではないので、人間を信仰してはいけない。人間を信仰するのはカルトである。人間は間違える事がある。
だから、人間は適度に信頼するべきで、信頼は間違いを許容するのだ。
簡単にはこの四つが重要と考える。
まとめると、
①読み書き能力、語学の勉強
②他者との対話の中で確かめ、実験する
③数学、統計を学ぶ
④科学による適度な懐疑と信頼
他にも様々な事が言えるが、簡単にはこうだ。そもそも簡単な方法はない。
難しい事を分かりやすく伝えるのは大切だが、難しい事を簡単にするのは、必要な情報が抜け落ちていて、結局、何も理解できていない可能性がある。だから、YouTube解説動画には注意が必要だ。(質にはバラつきがあり、良いものもある)
科学と非科学を簡単に区別する方法はないと、科学哲学という分野で明らかになっている。この話をすると大変に長くなるので割愛するが、興味があれば勉強して欲しい。
偽科学、詐欺、カルト宗教にはくれぐれもご注意ください。